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「ちょっと、ご主人めっちゃ落ち込んでるじゃないの!どうすんのよ!?」
『どうすると言われましても、マスターが悪いわけではありませんから。』
「そんな悠長なこと言ってんじゃないわよ!私たちが話せる時間は、短いんだからね?」
『そうですけど、ねぇ…』
あ、どうも失礼致します。みなさま、驚きましたでしょう?前ページではくたびれた男が一人で哀愁を漂わせながらタバコとコーヒーを嗜んでいたのに、いきなり何者、いえ、何物かが会話をし始めたのですから。
聡明なみなさまのことですから、もうワタクシどもが何なのかお察しいただいていることでしょう。
そう。ワタクシは、コーヒー。そして、少し粗暴な女口調の方は、タバコでございます。
ワタクシは、マスターにお仕えして約十年、彼女は八年となります。え、なんで物に人格があって、長年お仕えしてるとか言ってるの?消耗品でしょ?と、疑問を持つ方が多いと思われますが、ここはフィクションであり、妄想の世界でありますのでここはみなさまのご理解のほどを望まれます。
さて、前置きはこれくらいにして。
三日前、マスターは大学生時代に出会い、関係を密にしていた女性からとある“めーる"というものを頂いたそうです。
ワタクシは常にマスターと共にいられる訳ではございませんので、その内容の詳細についてはタバコの方からご説明させていただきます。所詮、ワタクシはマスターの家の中のインスタントコーヒーの粉なのですから。
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