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「いいわよ」
「俺、そんなに冷たいヤツに見えます?」
優しく微笑む滝本君は、とびっきり睫毛が長い。
私を抱えるように歩き出した彼に、身を預ける。
こんな温もりはいつ以来だろう。
「ありがとう」
玄関の前で頭を下げると、彼は少し困った顔をした。
「本当は看病してあげたいんですけど……相澤さん、嫌がるだろうから」
彼の言葉にひどく驚く。
「スマホ」
「スマホ?」
「スマホは、常に持っていてください。
なにかあったら、俺に電話して。それだけは約束してくださいね」
にっこり笑った彼に首を傾げる。それって……なにかあったら飛んできてくれるということ?
「滝本君?」
「約束できないなら、俺、看病します」
「や、約束する」
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