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だけど、そんな時間はあっという間に過ぎてしまう。
「帰りたくないな」
啓太さんは、部屋の時計をチラッと見て溜息をつく。
どうしたらこの人は、私だけのものになるのだろう。
私は彼の唇を奪って、舌を滑り込ませた。
「彩音? 残念だけど、もう……」
彼のそんな言葉に、思わず首を横に振りそうになる。
ギュッと抱きついて、溢れそうな涙を隠した。
体でオトコを繋ぎとめようとするなんて、醜い女。
わかっていても、私にはこうすることしかできないのだ。
もう少し、もう少しだけ、私のものでいて欲しい……。
だけど、再び別れの時間が来たら、やっぱりまた同じように思ってしまうんだろう。
結局私は、彼のすべてが欲しい。
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