プロローグ

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「はい」 彼は薬局を出たところで、私にのど飴を手渡す。 「ありがと」 「のど、痛いんですか?」 「あぁ、ちょっとね」 その時、滝本君の大きな手が私の額に触れた。 「ちょっと熱、ありません?」 背が百八十センチはある滝本君は少し屈んで、二十センチほど低い私の顔を覗き込む。 「えっ……大丈夫よ」 彼の不意打ちに驚きすぎて一瞬後ずさりした私を、クスッと笑う。 そんなに近づかないでよ。 オトコのくせに長い睫毛と、私好みの薄い唇を目の前にすると、ドキドキするんだから。
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