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そして、少し前にいる啓太さんの大きなうしろ姿を見て、溜息が出そうになる。
こんなに近くに好きな人がいるのに、少しも顔に出せないことが、心苦しい。
けれど、彼には、奥様ががいる。
医療機器展は、思わぬ大きな商談が隠れている。
普段会えないような人たちも、来ているからだ。
自分の会社のブースに立って製品説明をしたり、特殊な質問にも答えなければならないのは結構重労働だけど、やりがいもあった。
私がブースの前に立とうとすると、滝本君が遮る。
きっと足を気遣ってくれているんだ。
だけど、こんなことで特別扱いされたくない。
そんな思いが強くなったのは、きっと京葉大の件があったからだ。
私は滝本君の制止を振り切って、精力的に仕事に励んだ。
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