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「滝本が随分心配してた。辛いときは、ちゃんと言え」
「……はい」
彼はそう言いながら、周りからは死角になっているそこで、私にそっとキスをした。
「さてと、俺も行ってくるか」
残ったコーヒーをグイッと一口で飲み干した彼は、唖然とする私を置いて去っていく。
彼の背中を見送りながら、唇を思わず押さえて目を見開く。
啓太さんが……こんなことするなんて。
しかも、もしかしたら誰かに見られる可能性だってあったこの場所で。
不意打ちのキスに激しく暴れ始めた心臓が、飛び出してしまわないか心配になった。
その日も順調に仕事が運んで、もう時計は十九時を指していた。
これで終了。
明日は片づけと他社と一緒に掃除をして帰るだけだ。
「お疲れさん」
「お疲れさまでした」
啓太さんが、私と滝本君に声をかけてくれる。
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