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「滝本、会計してきてくれるか?」
「はい」
一通り食事が済むと、啓太さんが滝本君に財布を渡す。
「あっ」
私も慌てて財布を出そうとすると、止められた。
「今日は、俺のおごりだ。滝本、頼むな」
「ごちそう様です」
滝本君が会計に立ったのを見計らったように、啓太さんは私の方に体を寄せて、耳元で囁く。
「あとで、俺の部屋に来い」
「えっ……」
課長職の啓太さんの部屋は少し広めで、私達とは別のフロアだ。
彼が私の部屋に来るより、同じフロアにいる滝本君に見つかる危険は少ない。
「ちゃんと食べたか?」
「--はい」
啓太さんとの距離が近くて、泣きそうにうれしい。
少しだけ緩めたネクタイの隙間からのぞく、彼の喉仏が男を感じさせた。
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