激しい嫉妬

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「お疲れ様。今日は早めに帰って、休もう。 会社に顔を出すのも、明日でいいから」 啓太さんの計らいで直帰を許された私達は、新幹線を降りると一緒にタクシーに乗り込んだ。 「滝本の家から回ろう」   そう言った啓太さんは、運転手に指示を出す。 「僕は最後でも」 「お前の家が一番近いだろ」 「はい。すみません」 滝本君が承諾した時、ほんの少しでも--タクシーの中だけでも、もう一度啓太さんとふたりになれるんだと、心が躍る。 「ゆっくり休め」 「お疲れ様でした」   滝本君を降ろすと、タクシーは発車した。   すると突然、隣に座った啓太さんに手を握られ驚いた。 彼は前を見たままだったけど、指を絡めて握り直されて……私もギュッと握り返す。
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