激しい嫉妬

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その言葉がどれだけ嬉かったか。 私だって、本当は我慢できない。 こんなにそばに長くいられたのは、初めてだから。   誰にもすれ違うことなく部屋に飛び込むと、彼に強く抱き寄せられる。   そんなに急がないで。 もっと愛を囁いて。 欲しいのは体だけじゃないって、知らしめて。   もっとあなたの心が欲しい。 そう叫びたい気持ちと裏腹に、こうして激しく求められることに、女としての幸せを感じてしまう。   きっと奥様には、こんな風にはしない。 私だから、だと。 そう強く願っていると、彼は私を抱き寄せる力を弱めて、優しく微笑んだ。 「彩音のこと、もっと知りたい」 「……はい」 目頭が熱くなる。 彼を引き留めるのに必死で、抱かれることだけが愛の証で……。
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