僕らの夏は始まらない。

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 「……なんだと?」  拓也の表情が曇る。それでも翔太は怯まない。  「だってそうじゃないですか。俺と毎日練習して同じ生活をして。才能あふれる存在が誰よりも近くにいたくせに、自分だけ成長できずに置いてきぼりですか? そのくせ自分なんてこんなものだって悟りきったふりをしてる」  カッコ悪いですよ、そんなの。と翔太は意地の悪い笑みを浮かべる。  「……ふざけんなよ」  声を荒げる拓也。  「あなたは俺を怒れませんよ。だってここで怒ったら、認めることになりますもんね。自分の才能はこんなものじゃないって思ってるって」  翔太の貼り付けたような笑顔が、拓也の目に冷たく焼きついた。  「……じゃあどうすれば良かったんだよ。あるかも分からない才能とやらを信じて頑張れってのか?」  拓也は俯きながら、翔太に問う。
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