第1章    横浜湾岸

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昌彦は、麻里子の携帯をよく見ると。 「これは、カードだね?」 一目観た昌彦が、言い当てた。 プリペイドカード仕様の、携帯電話である。 まだ買って、半年も経っていない代物だ。 昌彦が溜息をつきながら、テーブルの上に置いた。 その瞬間、麻里子の脳裏に過去の記憶が蘇ってきていた。 麻里子は日本でも有数の大企業、五代物産の受付をしていた女性だ。 五代物産の経理も規模が大きい為、サイバー攻撃を受けやすかった。 頻繁に個人情報や口座からの引き出しが、相次いでいたのだ。 主に、中国からのサイバー攻撃が凄い。 企業に対するサイバー攻撃防御の為に、外部委託として 三上昌彦が指名された。 経理部に1人所属しパソコンに向き合いながら、 ひたすらマルウェアから社内システムを防御する。 毎日大量のマルウェアが流れつき、それらを次々と消滅させる。 「現在のセキュリティ能力では限界だ、新しいシステムを 開発しなければ!」 焦りを感じる昌彦、大量のウイルスが今のシステム自体の 突破は時間の問題だろう。 昌彦のベンチャー企業、オンロックでは残りの従業員により 開発が進められていたが、完成には程遠い。
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