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早朝から深夜までの、マルウェアとの格闘劇。
毎日の格闘に昌彦の披露も、ピークに達していた。
そんなある日、いつもの様にパソコンに向かいタイピングを
していると、傍に麻里子がやって来た。
少し驚いた昌彦が振り向くと、麻里子がトレイを持ち、
その上には紙コップコーヒーが載せられていた。
「お疲れ様、毎日深夜までご苦労様です」
「有難うございます」
昌彦が麻里子に逢ったのは、この時が初めてだった。
麻里子は白のブラウスに黒のタイトスカートの服装だ。
しなやかに、紙コップコーヒーをパソコンの横に置いた。
張り詰めた緊張が、解れた感じだ。
時計を見ると、午後9時を過ぎている。
「まだ、帰宅はいいんですか?」
昌彦が訊くと、麻里子がニッコリと笑い。
「良かったら、連絡を下さい」
そう言うと、紙切れを差出した。
紙には、電話番号が書いてある。
思わず、麻里子の顔を覗き込む。
「これは、なんですか?」
呟く様に問う、昌彦。
「…………貴方が、好き」
麻里子の突然過ぎる告白に、戸惑う昌彦。
誰が観ても麻里子は美人だと思う、それはスタイルだけでは無い。
切れ長の瞳に高い鼻、一見ハーフのように見える。
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