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「つまり、アニメとかマンガの設定を将来的に実現出来るのかを考察した本なのですね」
『つまり』とはなんだ!『つまり』とは!!その言葉は要点の絞れていない説明を的確に、簡潔に表現するときの言葉だぞ!!まるで僕が・・・・。
そこまで考えて、深いため息をこぼした。冷静になる。久しぶりの女子との交流でハイテンションになった僕が、無茶苦茶で要領の悪い説明をしたという事実に胸が痛み、いたたまれない。恥ずかしさのあまり、顔が熱い。
「将来は、科学者に?」
この子はやけに質問が多い。そしてその質問は僕の胸にチクリと刺さる。その理由は恥ずかしながら、その通りだったからだ。まだ、誰にも言っていない僕の目標。
科学者になって、アニメや映画のような異世界を創り上げたいのだ。異世界といっても僕が作りたいのは人工の異世界、コンピュータ上のデータで構築された、現実とは異なる仮想の世界だ。
僕はこの子の問いに短く肯定すると、どのような科学者を目指しているか尋ねられたので、照れながら更に答えた。
「そっかー!誰もが幸せに暮らす電脳世界を作る科学者か。すごい!すごい!!」
思ってもみない反応だった。話している途中、きっと笑われると、脳裏を過ぎったのにも関わらず、喜んでくれた。
なんだろうか、すごくうれしい。すごくすごく、うれしい。遠い昔にも誰かに同じような褒められ方をしてもらったような、曖昧なのだけれどそこには『懐かしさ』を覚える。
そういえば、あのとき僕を褒めてくれたのは誰だったろうか?
「具体的にはどんな世界?参考にしたものとかあるのですか?」
話したい。でも何だろう。胸騒ぎがする。久しぶりの女子との会話に興奮しているのか?久しぶりって・・・・いつぶりだ?
そんなことをぼけっと考えていたから、その子は僕の顔を覗き込んできた。
驚いた僕は、質問されていたことを思い出して、『最近上映された』好きな映画のタイトルを答える。
「・・そっか。マトリックスか。あの映画は悲しいよね。まさか、現実だと思っていた世界が・・・・本当は」
どうしよう!!なんか暗いぞ!!!!地雷でも踏んだのか!?
おどおどするばかりの僕には、何をしたらいいのかが分からない。
「他にはないのですか?影響を受けて現実にしたい空想作品。例えば・・・・デジタルモンスター・・とか」
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