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ポカンとしてしまった。急に変なことを言う。
だってそうだろ。デジモンを題材にしたアニメはあるけれど、その作品は架空の物語だったけれども。その質問はおかしい。
だって『デジモンは実在する生命』なのだから。それを現実にしたいだなんて。
「ココニイタノカ。ムコウハ、オトリトイウワケダ」
ほら、僕のパートナー、クラゲのようなシルエットに両腕が付いた可愛い顔のパートナー。ケラモン。
僕のパートナーデジモンのケラモンを紹介しようと、勇気を出して女子の顔を見れば、その表情はさっきまでと別人のように驚愕している。それでいて、怪訝そうだ。
「ワタシノコエハ、『ハカセ』ニハ、トドイテイナイ。ツゴウノワルイコトハ、キキタクナインダヨ。キミノコトバモオナジ・・・・ハズダッタノニ」
ケラモンをじっと睨んでいる。ケラモンの『ピコピコした鳴き声』を警戒しているのか?今時珍しい。
デジモンなんて『世界中にいる』というのに。
「キミハダレダ」
「自己紹介が遅れましたね。私だけミライさんの名前を知っているなんて、都合が良すぎた。・・・・そうだ、ヒントを出すから当てて!」
「ナンノアソビダイ」
何だろう急に。僕に話しかけているはずなのに、視線はケラモンに釘付けだ。汗もかき始めたようだし、この人大丈夫か?情緒不安定なのか?
「私の名前は、ある偉大な発明家の史実に影響を受けて名付けられたの。その偉大な発明家が、中学生時代の最後の夏休みに声を掛けてくれた女生徒の名前を、そっくりそのまま名付られたの」
僕の足の指が、電流を流されたように、静かに、静かに、痺れ始めた。
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