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けれども、そうはならなかった。
「しかし、彼の願いとは裏腹にデジモン達は人類を一掃するのではなく、ペットとして扱い、人類を飼い殺しにした。人類に死ぬよりも辛い状況を、生き地獄を与えたのです。まるでそれは、彼女を死に追いやった醜い人間の様。彼女が愛したデジモンの・・・・いや」
彼女が愛したのはそんなものではない。あれは。
「彼の生み出したデジモンまがいの電脳兵器。その残虐性を憂いた仮想世界の神である彼は、世界の中心にとある部屋創り、自らも姿を変えて、閉じこもった。その部屋とは」
その部屋の構造は、彼女と初めて出会った中学生時代最後の年。
「1999年の」
最後の夏休み。
「8月1日の」
静かなこの場所。
「この図書室でした。ねぇ、『ミラちゃん』。もう、こ、の、せ、せ、かいを・・・・」
「テキヲマエニシテ、ヨソミシチャ、ダメダヨ。キミモ、キミノドウホウタチモ、セイアツ、シチャッタヨ」
僕の体から痺れは消えて、目の前の少女がフリーズしたままノイズに埋もれていく。
「バイバイ。ハカセハ、ココカラデタク、ナインダ」
「そうだね。この場所から出るのは怖いや。でもな?ケラモン」
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