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僕が声をかけていることに驚き、目が点になるケラモン。
「親友が迎えに来てくれたのに、無視は出来ないだろ?もう、子供じゃないのだから」
「ハカセ、ケラモンノコエ、キコエルノ」
僕が頬を撫でると、ケラモンはその手をぎゅっと握った。
「ハカセ、キコエルノ。ハカセ、キコエルノ。ハカセ。『アレ』ハ、カノジョジャナイヨ。ダッテ」
「うん。彼女はとっくの昔に。でもね、僕を・・・・ミラちゃんって・・・・彼女だけなんだよ。彼女だけが僕を・・・・ミラちゃんと呼ぶんだ」
理解に苦しむケラモンの姿が滲んで見えたのは、この世界のエラーではない。
僕のこころがエラーを起こした。頬を伝うそれらと共に中学生の姿をした僕は、メッキがはがれるように還暦した本来の姿へと戻っていく。
「シラベレバ、マネッコ、デキルヨ」
「そうだね。でも、あの呼び方は僕と彼女しか知らないんだよ・・・・だからね、どうやって真似っ子したのか・・・・直接・・・・訊きに行くんだ」
理解出来ず、ケラモンの思考は停止した。ごめんね。
でも、中学校は、もう卒業しなきゃ。
「システムログイン、オペレータID・ミライ。システムコンソール表示、管理者権限によるシステムコマンドを実行。全プレイヤーを強制ログアウト。パスコード・・・・」
さよなら、
「・・・・のぞみ」
また逢おう。
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