夕刻

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夕刻

「…あっ……」 「えっ…///」 奇妙な音が聞こえる。 受験から早一年。もう女子高にも慣れ、学校生活を満喫していた頃だっただろうか。私は3Fの演習室の前を通ったとき、変な声を聞いてしまった。 「…っあっ…」 「や…///」 「だめっ…」 声の主が気になる。どうも男性の声らしい。 友人からBL小説を押し付けられていた私は、瞬時にあられもない男性の姿を想像してしまった。嘆かわしい。 「フッ…これも女子高に入った運命というものよ…」 声の主がいなくならないうちに現場を押さえよう。 そう私が決心したことも不思議な事ではない。 「やめっ…」 下だ。 階段を下った。目の前は2‐4。しかし誰もいない。 「…外したか。」 するとさっきよりも大きな声が聞こえた。 「アーッ♂」 下だ。 1Fの端の1‐4。そこで私は驚愕の真実を目にした。 「あー、えー、いー、うー、えー、おー、あー、おー」 声は演劇部の発声練習だったのだ。 「チッ…つまらぬことこの上ないわ。」 明日は小テストだ。さっさと帰ろう。 私はカバンを持ち直し、裏門から外へ出た。 事実は小説よりも奇なり。よく言ったものだ。 私はあれほど奇妙な体験をしたことがない。 1Fの端での発声練習の声が3Fまで聞こえるはずがないのだ。
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