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「ゆきくんがもっと小さな時にはね、おばあちゃんは今より少しだけ、ゆきくんのかおや空や にわが見えていたの」
おばあちゃんは、ゆっくりと目をとじて、はなしをつづけた。
「ゆきくんが小さなときのね、おこったかおや、ないたかお、今みたいにこまったかおも おぼえているのよ。それからどんどん目が見えなくなって、今は何にも見えない。お日さまのつよい光しかわからないの」
「でもそれじゃあ、ほくがどんなかおをしているかは わからないよ」
ぼくは、目が見えないおばあちゃんのよこにすわっていることが、だんだんかなしくなってきた。
「あらあら。かなしむことはないのよ」
おばあちゃんはやっぱり、ぼくのことが見えなくても、ぼくがどんなかおをしているのかが、わかっているみたいだった。
「なんで、かなしいのが わかるの?」
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