ハルヨビ

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ぼくは、おばあちゃんの方をむいて言った。 おばあちゃんも、ぼくの方をむいてにっこりわらうと 「ゆきくん、目をつぶってごらん」 と言った。 ぼくはおばあちゃんに言われたとおり、目をつぶった。 『パサパサッ』 『カタン』 『コチッコチッコチッ』 『ピチョン…ピチョン…』 いろんなおとがきこえてきて そしてさいごに 『ドサドサッ』 と、大きなおとがした。 「あ……」 ぼくがそう言って目をあけようとすると、おばあちゃんは 「待って。まだ目をあけないで。目をとじたままで、今のが何のおとだったのか当てましょう。せーので、いっしょに言おうね。じゅんびはいい? ” せーの ” 」 ぼくは「雪が木から落ちた音」と。 おばあちゃんは「木から雪が落ちた音」と、いっしょに言った。 「さぁ、ゆきくん。目をあけて、せいかいだったか見てくれる?」 そう言われて、ぼくは目をあけた。
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