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ハルヨビのはなしをしている おばあちゃんの向こうがわに、
お日さまの光で雪がすっかりとけた ばしょが ほんの少しだけあった。
濡れた土が見えている。
「あ!」
ぼくはおもわず声をだした。
おばあちゃんも「ふふっ」とうれしそうにわらって「もういっかい、目をとじてごらん」と、ぼくに言った。
ぼくは言われたとおり目をとじて、耳をすませた。
『ムクムク』
『モコモコ』
と、小さな小さなおとが きこえた。
「それが、ハルヨビのおとだよ」
おばあちゃんがよこで教えてくれる。
ぼくは目をあけて、おとのする方を見た。
そこには、小さな小さな みどりのめが土から かおを出していた。
「ハルヨビも、ゆきくんに早く会いたくて、急いで出てきたのかもしれないねぇ」
おばあちゃんも うれしそうにわらって、見えていないはずのハルヨビを見つめていた。
end
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