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鞄を探ってスマホを取り出すと、メッセージアプリをひらいた。 「その手があったな…。友達の家に泊まるとでも伝えておけ。その友達の家は『喫茶 玉』で、住み込みアルバイトを連休中頼まれたからとでも理由付けしろ」 熱で頭の働かない状態なので、ありがたくその言葉を頂戴した。 一通り送信が終わると、梅雨はメモ機能を開き新たな文をうちはじめた。 《私の名前は、宇治川 梅雨 と言います。高校一年です。ご迷惑おかけしてすみません》 打ち込んだ文章を見せるとフンと鼻を鳴らされる。 「迷惑だと思っているだけましか…。俺は、この喫茶店の店主で 茶山 珠利 (さやま じゅり) だ」 名乗ったかと思えば、再び湯飲み口に近付けられ飲むように促される。 一口、二口と口にすると、今度は寝かされ布団をかぶせられた。 「とりあえず連絡も終わったから、もう一寝しろ。次に起きたら薬を飲んでもらうからな」 ポンポンと頭を優しく叩かれると何故か安心して眠りについてしまった。
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