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其のー
好きな食べ物は、ない
好きな音楽は、ない
好きな遊びは、ない
好きな人は、いない
好きなことは、ない
嫌いなことは、ない
僕、白々中公 (しらじらなか こう)は、空を仰いでいた。
何の鳥なのかは分からないが、雲と空の下を飛んでいる。
彼らは確かに下を飛んでいるのだが、果たして僕はどこに位置しているのだろうか。
隣のグラウンドでサッカーをしている少年たちの声が聞こえる。眩い。
僕には、何もない。
「何もない」と言うと、それは矛盾しているかもしれないけど。
僕には本当に何もない。
アア。彼らが本当に眩い。
僕は本当に期待している。
希望を持っている。
今はそれらが何かも分からないのだが、いつかは、いつかには、それらを知りたい。
僕を、染め上げたいんだ。
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