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気がついたら、ベッドの上だった。
…ここは?どこ?
「気がついた?気分はどう?」
と男性の声。
声の方を向くと、 スーツを着た男性が立っていた。
「大丈夫です。あなたは?」
そう言うと、その人は驚いたように一瞬目を見開いた。
そして、
「自分の名前、分かる?」
と聞いてきた。
自分の名前…自分の…名前?
どんなに考えても浮かんでこない。
その人はすぐさま、近くにあったナースコールを押した。
「どうしました?」と上の方にある丸いスピーカーから、女性の声がする。
すると、その人は、
「三枝さんが、目を覚ましました。先生を呼んでもらえますか?」
「分かりました、今行きますね」
しばらくすると、医師と看護師がやってきて、いろんな質問を受けたあと、
「記憶喪失ですね」と告げられた。
記憶喪失…それが、目覚めてからの私の始まりだった。
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