15年前の悲劇

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家の前の道は午前中だというのに、日差しが強く照り付けていた。 慌てて出てきたため、お気に入りであるピンク色のリボンが付いた麦藁帽子を忘れて来ていたのにふと気づく。 「……帽子忘れて来ちゃった……ま、良いか」 私の呟きに妹は顔を上げた。 私はにっこりと笑いながら妹と手を取り、ゆっくりと公園に向かって行った。 家から出て3.5メートル幅の道路を右に曲がり、200メートル程歩くと、いつも買いに行く花屋のお兄さんが、前から自転車に乗って来るのが見えた。 お兄さんは私に向かって片手を上げ、1度止まると話し掛けてきた。 「おはよう。どこ行くの?」 「公園に行くの」 「気を付けてね!」 私がそう答えると、お兄さんは また自転車を漕ぎ始め走り去って行った。話している時にお兄さんが付けていたコロンの爽やかな香りが漂った。1ヶ月に2度来るお客さんの残り香と同じ匂いの……。 更に100メートル進んだ右側がいつも行く公園だ。 自転車の通行防止の柵を避けて中に入ると、子供連れの母親達が日陰で楽しそうに話をしているのが見えた。 ブランコに砂場、鉄棒に滑り台しかない小さな公園だが、私にとっては好きな場所だった。 私は砂場へ妹と共に行くと、まずは大きな砂の山を作ってみた。妹も横に来てはしゃぎながら砂山作りを眺めていた。 さらさらと崩れ落ちる砂を何度も掬っては固めていく。今日はバケツもスコップもなかったためなかなか形にはならなかった。 「出来た!……次はブランコしようね!」 自分の砂まみれになった白いブラウスと赤いチェックのプリーツスカートを叩き、妹のふわりとしたピンクのスカートや白いフリルのブラウスから砂を落とすと、私は砂山を踏んで潰した後、ブランコへと走って行った。
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