15年前の悲劇

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ブランコに腰を下ろし妹を両手で膝の上に乗せると、妹は嬉しそうに微笑んだ。 ゆっくりと揺らすと生暖かい風が頬の横をすり抜けていく。 今日も暑い。額から汗が流れ落ちた。 「暑いね……アイス食べたくなっちゃう」 ふとベンチの辺りを見ると先程の子供連れの主婦達は立ち上がり、頭を1つ下げて別々の方法へと子供の手を引き歩いていた。 ふと昔を思い出す。 昔は良く母親達と遊びに来たものだ。サッカーボールを蹴ったり、鬼ごっこをしたり、自転車に乗れない私の荷台を押してもらったり。 父親と遊ぶのは大体が家の中で絵を描いたり、プロレスごっこをしたりだったため、公園での運動は本当に楽しかった。 だが最近では母親達も忙しくなり、公園に行くことも無くなった。父親はと言えば仕事が増え、帰って来ない日も増えている。 全て仕方のないこととして片付けるには、私はまだ幼すぎた。 「帰ってアイス取ってこようか?勝手口から入ってサッと出てきたらお母さんにもバレないよね?」 余りの暑さに噴き出す汗が、喉の乾きと冷たいものを欲する気持ちを余計に刺激してくる。 暑さに我慢できなくなった私は、妹と共にアイスを食べようと家へと戻って行った。
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