《世界》の選択

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 ◇ ◇ ◇ ある昼下がりの公園。 初夏の陽射しは眩しく、緑をより鮮やかに照らしている。 少しばかり暑さのある陽射しの下、子どもたちが楽しげに走り回っている。 噴水そばの木陰にあるベンチには一人の少女が座って、子どもたちの姿を微笑ましく眺めている。 少女は時間を気にしているのか、公園に設置されている時計に度々視線を送っていた。 そして、傍らに置かれた画材道具に手を伸ばし、一冊のスケッチブックを取った。少女は何かを描くわけでもなく、パラパラと捲り中を見ている。 そんな少女の側に、一組の男女が近づき声をかけてきた。 ベンチに座る少女と同世代くらいの柔らかな物腰の少女と、爽やかな風貌の青年。 三人は楽しそうに会話をしている。 青年の方は時々ベンチに座る少女をからかうような素振りをみせ、それを柔らかな物腰の少女が注意する。そんなことを和やかに繰り返している。 しばらくして、二人はベンチに座る少女に手を振り、公園を出ていった。
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