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胸が苦しくて目が覚めた。
すごくドキドキしている。
何かの病気か？いや、
違う。
たぶん、
今日もあの人に“会える”からだろう。
頭では冷静にしていても、
体が反応してる。
私はなんて正直なんだろう。
年を取るごとに、
その度合いは加速している。
もともと人間は、
自分にだけは嘘のつけない動物だけれど。
あの人は、
私を知らない。
私もあの人を見たことがない。
知っているのは歌声だけ。
洋館の２階窓からギターと共に流れる音色・・・
その周波数だけで、
私はこんなにもときめいている。
「あかねさん、
うわさになってますよ」
アルバイトのキーがカウンター越しに言った。
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