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「あああああああああ...!!」 「...!?」 前方に視線を向けると、校舎で男が首を吊るしていた。 「何してんだ!?」 「た、助けて...」 翔介は急いで救助に向かおうとするが、男は屋上に向かって急上昇していく。 「縄が上がっている!?」 男は校舎に沿った状態で屋上まで上昇して、屋上の手摺に体が引っ掛かる。 「あ...が...!!」 首を絞めている縄には刃物が付けられており、その縄は手摺の向こう側から引っ張られていた。 「まずい、あのままだと首が斬られるぞ...」 どうしようか考えたが、彼にはどうすることもできなかった。 「は、葉月奈々...」 「...!?」 首を吊るされた男は苦渋に満ちた表情でそう言い残した。 「あ...がああ...」 縄はさらに男の首を減り込ませて、血が溢れ出ていた。 「おい、しっかりしろ!!葉月がどうかしたのか!?」 しかし男には既に返答する余裕など微塵もなかった。 「あ...ああ悪魔よ、俺の命を生贄にして、奴を呪い殺してくれ...!!」 「おい!!何とか言えよ!!」 その時、首の骨が切断される音がした。 バキ____!! 「___!!」 屋上から首が切断された死体が落ちてきて、地面を見るとそこには赤く描かれていた五ぼう星のマークがあった。 「何だよこれ...一体誰がこんなことを...」 気が狂いそうだったが、しばらくすると感情が安定してきた。 「...取り敢えず、警察に連絡しないと」 携帯に手を掛けたその時、何処からか自分を呼ぶ声がかかってくる。 「上条君?」 「安藤さん、どうしてここに?」 「どうしてって、あなたが呼んだはずよ?」 全く見に覚えがない自分の行動を彼女は上げてきた。 「ほら、このメール」 彼女の携帯から提示されたそのメールを確認するが、そこには上条翔介と名乗ったなりすましメールだった。 「メアドが俺のではないな」 「え、そうなの?」 まあ、彼女は俺のメアドなんて知らないだろうから、俺が学校に来るように要求したと思って素直に来たのかもしれない。 「上条君が事件のことについて話したいって言ってきたから来たんだけど、なりすましだったんだ...」 「...いいや、実際に話したい事が今できた」 翔介は首が切断された死体のところに彼女を連れて行く。 「これは...」 「俺も上手く説明できないが、数分前まではこいつは生きていた、でも殺された」 明らかに殺人だ、でないと縄が上昇したりなんてありえない。
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