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妊娠検査薬、彼女がドラッグストアで買っていたのはそれだった。 疑わしく思い始めたのは三日程前だった、ぴったり28日周期だったそれは突如として来なくなってしまったのだ。 それでいざ調べてみたらこの反応だ、たった一回、 たった一回の行為で、美奈子は一生後悔しそうな結果を出してしまった。 「馬鹿だね...私...」 彼はきっと妊娠なんて望んでいないだろう。 せめて、この事実は彼に知られぬように処理しなければならない。 そう、それが子供を見捨てる行動になってしまおうとも___ _______ 七星佐里は崖から転落して死亡した。 なら何故、遺体が無いのか? あの高さから飛び降りたら助からないはずなのに、どうして何も見つからないのか? 「...分からない」 「何が?」 「何って、どうして佐里の遺体が見つからないのかって___」 その異変に気付いたときには既にその冷たい鉄の刃が腹部に突きつけられていた。 「__!?」 「安心して、言う通りにしたら殺すつもりはないから」 何やらパーカのようなもので顔を隠していたが、日本刀を持っているところから明らかに異質さを感じ取れていた。 「こっちに来て、ここじゃ目立つから」 「...」 ここは素直に人目が少ない路地に移動することにした。 「誰だ貴様...?」 全くの如く気配を感じ取れなかった、その証拠に最初の会話で意識する前に自然と喋っていた。 何か、何処と無く普通の人間ではないところがあると察した。 「さてと、どうやら七星佐里の遺体を探しているみたいね?」 「...」 七星のことを知っている、こいつまさか... 「安藤...なのか?」 「ええ、確かに私は安藤由香里だわ」 「わざわざそっちから出向いて来るとは思ってもみなかったよ...」 精神的に負けるわけにはいかないので、大した問題でないように接した。 「ちょっと聞きたい事があるの」 「聞きたいこと?」 「あなたを動かせたのは誰?あの体験をしておいてどうして戻る気になれたの?」 彼女が聞いているのは恐らく、翔介を誰があの学校にまで突き動かしたかということだろう。 「そんなの聞いて何になる?」 「勿論、殺すに決まってるじゃない♪」 「...!?」 彼女にはまるで殺気が感じられなかった。 そこに居たのは人を人とも思わない、殺すことが生きがいとも思えた殺人鬼だった。
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