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春風が桜の音を上げる季節、高校生活最後の一年の始まりを向かえた。 「...さあ、残り一年頑張るぞ」 上条翔介、それが俺の名前だ。 突然だが、この世の全ては人望で成り立ってると言えるだろう どれだけ勤勉に学力を上げようが、自分の得意分野で上を目指そうが 結論的に、人望こそが結果を残す。 だから俺は学力も努力も磨かない、皆に良い顔してれば権力なんていくらでも手に入るから。 「ま、待ってよ翔介君~」 「おお、悪い悪い」 彼女は七星佐里、二年生の文化祭の時に告白されて現在付き合っている女子だ。 「今日から三年生だね」 そんな事を言いながら、翔介達は貼り付けられたクラス別けの紙を見る。 「やった、翔介君と同じクラスだ♪」 「おお、なら良かった」 あまり感情を表には出してないが、翔介は微妙に笑みを浮かべる。 「私達も付き合ってもう半年なんだね」 「振り返るなよ、何だか名残惜しくなる」 ここ半年大したことはしてあげてないが、それでも彼女は文句一つ言わずに付き合ってくれてる。 こういうのが理想の彼女なのかもしれないな。 「佐里、もうすぐ誕生日だったろ?何か祝ってやるよ」 「え、いいの?ありがと♪」 別にサプライズなんてシャレたことはする気がないので、前もって予告しておいた。 「何が欲しい?」 「うーん...翔介君がくれる物なら何でも良いんだけどな...」 「ねえ、今日って...」 「らしいよね...」 翔介通りかかった女子達の話の内容に、何か引っ掛かりを感じる。 「...何だ?」 「翔介君」 佐里が翔介の耳元で低いトーンの声で呟いた。 「え、ああ、あの女子達が...」 「それって、転校生の話じゃないかな?」 「え、そうなの...」 「それより、その女子達って誰なの?ねえ教えてよ?」 何だか彼女の目も虚ろになり、翔介も違和感を感じ出した。 「えっと、確か三年生から俺達と同じクラスの女子だった気がするけど...」 「そう、その女子達が...翔介君の気を引いたのね...」 「...佐里?」 「...何でもないよ♪早く教室に行こう」 最後の発言は、違和感というよりは異常に近かった。 「それじゃ、私の席こっちだから」 「ああ」 二人は教室に入り、HRまで少しの時間を待つ。
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