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沢谷一弥が善人だという可能性は確かに存在する
だが警察である我々がその可能性を肯定したら、今まで彼に殺された人達が本当の意味で無意味に死んだただの屍になってしまう。
それだけは警察であり、正義である我々にはできないことだった。
「前島、今すぐ捜査を続行するぞ」
「やる気だけはあるのね」
「ああ、絶対犯人を捕まえる」
その終わりは、確かに真実に一歩近づけただろう
そして訪れる、新たなる物語への月日まで
残り三ヶ月が過ぎようとしていた____
______
東京都 拘置所
「面会の時間だ、出ろ」
「...」
男は気力が尽きた千鳥足で面会室へと向かった。
「入れ」
「...!!」
そこには警視総監の娘である飛鳥砂夜が居た。
「一弥さん、お久しぶりです」
「何しにきやがった...」
「お節介かもしれませんが、あなたの顔をもう一度見たかったんです」
「...」
一弥はガラス張り近くの椅子に座った。
「僕との面会は上から止められるはずだが?」
「大丈夫です、私権力だけは無駄に持っていますので」
「...そうか、元気そうだな」
もっと言うべきことはあったはずだったが、何かが喉の辺りをつっかえた。
「一弥さんは、元気がないようですね」
「...ああ」
「ごめんなさい、大人達は私の言う事なんて一つも信じてくれなかった...」
「当たり前だ、世間では僕はただの人殺しだ」
砂夜は人質から解放後、マスコミへの出演や精神科の通院で休む暇もなかったらしい。
「お前もさっさと僕のことなんて忘れるべきだ」
「そんな事できないよ、だって...私は...」
「...」
「...私も真実が知りたい、あなたが犯罪に手を染めてしまった動機も」
すると一弥は頑なに発言を拒んでいた真相についてを少しだけ砂夜に話した。
「砂夜、良く聞け」
「う、うん」
「××××」___
「___!?」
「そろそろ面会時間は終わりだ、立つんだ」
「はいよ」
一弥はそれだけを言って面会室を退出した。
その言葉の真実を確かめるには、まだ少し時間がかかりそうだ____
<<TO BE CONTINUED...>>
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