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「ねえねえ、安藤さんって何処の高校から転入してきたの?」 「家ってお金持ちなの?」 「彼氏とかいるの?」 翌日、前日は男子からの質問だったため、今度はクラスの女子から由香里に対しての質問攻めにあっていた。 「え、ええっと...」 中々上手くコミュニケーションが取れない由香里にも焦りが見え始めた。 「そんなに質問攻めにしてたら可哀想だろ」 「まあ確かに、上条君の言う通りだよね」 翔介が中に入り、女子達からの質問攻めを注意する。 「あなたは...?」 「上条翔介、よろしくな」 自己紹介をして、翔介は彼女の近付く。 「そう言えば、佐里見なかったか?」 「七星さん?確か今日休むって言ってた気がするけど...」 「え、まじかよ」 ...ったく、連絡ぐらいしてくれても良いのに。 キーンコーン___... そんな事を思っていると、朝のHRのチャイムが鳴った。 「それじゃあ、安藤さん」 女子達も席に戻り、翔介も戻ろうとした時だった。 「上条君...」 「え...?」 翔介は由香里に手を引かれて、耳元で呟かれた。 「今日の放課後、付き合ってもらえないかな?」 「...!?」 彼女から香る甘い匂いに、脳が正確な判断を鈍らせた。 「あ、ああ、良いけど...」 「うん、約束だからね」 それを聞いて、翔介は席に戻った。 __「後一年ですが、高校生活はまだまだあります...」 「...」 安藤由香里、佐里とは違って大人っぽさがあった。 「っ...」 何で、あんな奴意識してんだよ...そもそも俺は佐里の事が好きで...あれ?ならどうして放課後付き合うこと約束したんだ俺? 「...!?」 ま、まずい!!これはさすがに越えてはいけない一線な気がする...!! HRが終わったら断るか... 「あ、安藤さん...」 「上条君、どうしたんですか?」 「い、いや、さっきの放課後の話...」 「ああ、さっき言いそびれたけど、校舎案内して欲しいなって...」 「え?」 由香里の解答に、つい評し抜けしてしまう。 「何か、勘違いをしてたの?」 「い、いいや!!そんな事だろうと思ったから大丈夫だよ!!」 な、何だ...まあ、校舎案内ぐらいなら別に良いか...
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