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「それでは、よろしくお願いします」 「おう」 誤解も解け、翔介は次の授業の準備をするのだった。 放課後 「上条君、約束は覚えてる?」 「ああ、校舎案内だよな」 翔介今日一日色々と考えて、何処を紹介すればいいのかまとめていた。 「まあ、基本的には普通の学校と構造変わらないから、場所とか教えるよ」 「ええ、ありがとう」 二人は教室を出て、校舎を回り始めた。 「ここが保健室で、ここの廊下を進んでいけば美術室が見えてくる」 「なるほど」 さてと、後は第一棟の教室を紹介するだけか... 「ここは何の教室ですか?」 「ああ、一応資料室らしいけど、ほぼ使ってないよ」 学園祭とかで作られた製作物を保管する荷物置き場としても活用されてるらしいが、生徒にはイマイチ関わりを持つ事はない教室だ。 「...」 「どうかしたか?」 「いいえ、何でもないです」 彼女は一度踏み止まるが、何もなかったように歩き出した。 「今日はありがとう、私の為に紹介してくれて」 「気にするな、俺も早く学校に馴染んで欲しいと思ってるし」 まあ、表面上こういうのには慣れてるからな... 「クラスも良い人ばかりで、転校して不安だったけど安心した♪」 「...そうか」 「...?どうかしましたか?」 由香里の発言に、翔介は明らかにテンションが下がっていた。 「何ですか?クラスのことなら教えてください」 「...あまり良い話ではないけど、俺達のクラスには二つの核が存在する」 いわゆる核グループが二つ存在していた、その二つのグループは学年でも有名なグループだったが、かなり方針が異なっていた。 「土田派と多村派、学年ではそう言われている」 「二人は仲が悪いのですか?」 「ああ、特に土田派は不良直前の過激な奴で、暴力的な一面もある」 二年生の時に他校の生徒に暴力を振ってしまい、一度謹慎処分になったこともある。 「多村は人望的な奴で、二人は決して交わらない核となっている」 「B組は一丸岩ではないのですね...」 B組に居る土田派は4人、多村派は5人、このクラスは常に緊張状態なのかもしれない。 「すまないな、転校してまだ二日目なのにこんな話して...」 「いいえ、クラスの事を聞けて良かったです」 由香里は彼に対して礼儀正しく会釈をする。
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