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「安藤さんって、何処の高校から来たの?」
「...多分、教えても知らないと思いますよ」
「そっか、なら聞かないことにするよ」
その時、一瞬風が強く吹き由香里のスカートの中が露になる。
「な...!?」
「み、見ないで...!!」
急いで視界を逸らそうとするが、それよりも印象に残ったのが彼女の右脚だった。
「その脚、どうかしたの?」
スカートの裾で隠れていて見れなかったが、彼女の右脚には包帯が巻かれていた。
「ただの怪我だよ」
「...?」
一瞬何かを疑うが、気のせいだと思い意識を戻した。
「今日はありがと、もういいよ」
「え、でもまだ紹介してない所が...」
「ごめんなさい、用事思い出してしまって」
そう言い残し、彼女は翔介の元を後にした。
「何だったんだ...?」
「おい」
彼に威嚇する様に声を掛けたのは、同じクラスの土田鎮だった。
「お前、あいつと何話してたんだ?」
「な、何でも良いだろ、第一何でお前に話さないといけないんだ...」
そう言うと、鎮は翔介の胸ぐらを掴み始めた。
「あいつは、俺の女だ...」
「...勝手にしろよ、どの道俺には無縁だし、校舎案内頼まれたから付き合ってただけだから」
何やら鎮はあらぬ誤解をしていたみたいなので、翔介は順を追って説明した。
「そうか、今度からは下手にあいつに近付くなよ?」
「...分かったよ」
そこまで言うと手を離して、彼は立ち去る。
「本当に何だよ...」
まさに色々と災難な一日だった、早く家帰って宿題済ませよう。
_____...
「...」
何かを忘れている気がする、何か大切なことが...
「「...」」
「そうか...」
もうあれから、あの出来事があってから
半年も経つのか...
「まあ、俺には直接関係無いけどな...」
何も失わなかったからこそ、何も知らない
未だにあの出来事を思い出す人なんて
この世界の何処かに居るのだろうか?
____
「や、やめてくれ...」
血色に塗りたくられたその教室は悲鳴と血飛沫に覆いかぶされていた。
「「今更自らの命が可愛いか?化け物め...」」
「あ、悪魔は偉大なんだ...悪魔が求めるものを与えるのが我の役目なんだ!!」
「「なら、お前が悪魔の生贄になるがいい」
手に携えた鋭利な凶器の前に、男は絶望するしかなかった。
「ああ悪魔よ、どうかこの者を呪い殺してくれ!!」
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