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「茶ぐらい入れてやるから、中に入れ...」
「...ありがとう」
翔介は美奈子をホテルの部屋に入れて椅子に座らせた。
「ほら、お茶だ」
「...」
翔介も向かいの椅子に座って、彼女と会話をする形をつくった。
「調子悪いのか?」
「あ、うん、何か数日前から吐き気がして...」
「...そうか」
翔介は美奈子の額に手を当てて体温を測った。
「熱は無さそうだな」
「うん、多分そういうのじゃないから...」
手を当てられた美奈子は頬を赤くして彼から目を逸らしていた。
「それで、俺が居なくなったクラスは平穏か?」
「...いいや、地獄だよ」
「え?」
美奈子は翔介が学校に来なかった間に起こったことを全て話した。
「多村が殺された...!?」
「土田君が殺したらしい、それがきっかけで土田君のグループだった三人はイジメの標的になったの」
「...マジかよ」
今の伊勢崎、田上、小渕の三人は学校内では人権がない奴隷的存在だ。
クラスメイト達の当たりが強くなるほど三人の不満は高まる、そうなれば土田派と多村派の衝突は避けられなくなる。
最悪B組は学級崩壊、破壊の道を辿るかもしれない。
「特に多村君のグループの須川君が暴走し始めてる、三人の奴隷制度を提案したのも彼だから」
「...そうか」
「だからお願い、このクラスを救えるのは上条君しかいないの!!」
彼女の言い分は少々無理難題に近かった、何故なら翔介も現状は同じだからだ。
「無理だよ、俺にはもうクラスの居場所なんてない、俺はもうB組に関しては部外者なんだ」
「そんな事ないよ!!皆だって上条君の事は言い過ぎたって悪く思ってるから普通に学校に来れば良いはずだよ!?」
「...簡単に言うなよ」
彼の心の叫びの様なその声が部屋中の空気を冷たくした。
「ごめん...」
「別にお前を恨んでいるわけではない、むしろあれが当然の仕打ちだ」
俺は彼女に最低卑劣な行為をした、その結果クラスに居場所が無くなって逃げ出した。
全くの自業自得だ。
「家、燃えたみたいだね...」
「...ああ、もう一生分の不幸を味わった気分だよ」
「私ね、本当はあの時...嫌じゃなかった...」
「え...?」
何やら照れくさそうに視線を合わせて翔介に打ち明ける。
「私本当は、ずっと翔介君のことが好きだった」
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