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「協力してくれるよね?」 「...」 今のクラスの現状に何らかの細工が働いている事は明白だ。 そしてその首謀者が、どう言うわけか分からないが転校生である安藤由香里の可能性が出てきた。 奴は気に入らない、そんな奴がクラスを破壊しようとしてる現状すらも気に障った。 「...分かった、要するに土田グループと多村グループを和解させれば良いんだろ?」 「本当に!?ありがとう!!」 クラスの再建に協力を承諾すると、彼女は救われた様に嬉しそうな顔をした。 「そうなると、どうやってクラスを安定させるか考えないといけないな...」 「難しいかも、クラスメイトの大半は真実を知らない現状にあるから」 「誰か真実を必ずしも知っていて、説得力のある奴がB組全員に説明してくれれば...」 安藤に頼むわけにはいかないし、種埼が教えてくれるとは思わない。 それに彼は安藤に人質状態の可能性が高い、下手に手を打ったら彼女に何をされるか分からない。 「...そうだ、一人だけ居る」 「もしかして、土田君?」 しかし彼は既に警察が身柄が保護されている。 裁判が行われ少年院に入れば手遅れだ、その前にどうにか彼を確保して真実を口外してもらわなければならない。 「でも、土田君は既に警察に捕まってるよ?」 「分かってる、だから合法的に外へ出す」 「何か方法があるの?」 「保釈金を支払って保釈させる」 だがそれは非常過ぎる策略だった。 土田は多村を殺害した、普通重罪を犯した者に保釈金の制度はない。 翔介は土田がまだ未成年であることと、保釈期間が一日だけであることに賭けるしかなかった。 「そんなの...」 「無理は承知だ、だがこれしか方法は無いだろ?」 「資金はどうするの?これだけは私達の一存ではどうしようもないよ」 「それは大丈夫だ、俺が払う」 父親の無駄に貯めていた貯金からなら1000万でも2000万でも今すぐに引き出せる。 「そうと決まれば行動開始だ、八重洲も手伝ってくれ」 「わ、分かった!!」 その後は取り敢えず裁判所に保釈申請を出した。 さすがに骨が折れる作業だったが、弁護士に相談に乗ってもらい何とか土田の保釈は裁判で成立された。 勿論翔介自身からは直接保釈は出来ない為、土田の両親にも伺い向こう側から保釈申請する形となった。 その保釈金、実に『1500万』__ 全額を翔介が立て替えて、彼は異例ながらにも保護されていた施設を出た。
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