記憶喪失ーー 彼女は誰に殺されたのか？

ーー 甦ろうとする記憶 ーー

長谷川と言う男から俺の携帯に入っていたメッセージ……。
『あの日、あなたの部屋で亡くなっていたのは僕の恋人です。僕はまだあなたのことを疑っていないわけではありませんが、後で警察の人からあなたと彼女が知り合いではなかったようだ…と聞いて。思い出したことがあったのでご連絡をさせてもらいました。彼女はそそっかしい性格で、以前、僕の部屋に来た時に、うっかり上の階の9階で降りて玄関を開けようとしてしまったそうなんです。だから、もしかしたらあの日も僕の部屋と間違えて、彼女はあなたの部屋に……』

俺は呟いた。「彼女は間違えて…ここに……？」

そして高原からのメッセージ。『先輩が出かけた後、彼女さんが先輩と行れ違いに部屋に入っていくのをちらりと見かけて……』

ーー シャ……ッ！！

俺は一気にシャワーカーテンを開け、バスタブの中を見つめたまま言葉もなく固まった。