ーー 甦ろうとする記憶 ーー

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「た……高原……」 「どうしてわたしの名前は言ってくれないの? 」 振り返ると、洗面所の入り口に芽里亜が立っている。 「だって…わたしたちは恋人同士でしょ?」 「芽里亜……。違う! 俺たちは恋人同士じゃ……」 恋人同士じゃ…なかった……。俺は今、忘れていた半年前の記憶を全て思い出した。 俺たちはただの…高校の…「どう…きゅう…せい…」 「違うわ! わたしたちは付き合っていたのよ。なのに、あの日、あの女は開いていたドアからこの部屋にずかずかと上がってきた」 芽里亜はイライラしているように続ける。「わたしを見て、びっくりしていたみたいだったけど。とんだ、泥棒猫よね……」 「それは……下の部屋と、間…違えて……」
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