ーー 無くなった記憶 ーー

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ーー ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン……! 何度となく聞こえたチャイムの音と ーー ガチャ……! 玄関の開く音……。 俺は言葉もなく開いていくドアを見つめた。 「あの…大きな声が聞こえたんですけど、大丈夫ですか?」 突然、ふたりの女の子が入ってくる。…誰だ? こいつら……?! 「あの、何度かチャイム鳴らしたんですけど……」 「先輩、今日、ゼミ休んだから気になって……」 ドアを開ければあらわになる白い壁の赤い手跡……。 「 えぇ?!」 「え?!」 ふたりは俺の表情と 「なに?! これ……」 「……」 壁一面の真っ赤な手跡を交互に見つめている。 「これって……血?!」 「違うっ!!」 俺は必死に叫んだ。「違う! 違う! 違うっ!!」
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