ーー 無くなった記憶 ーー

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しかしふたりはその場に立ち尽くし 「あ…あ…あ……!」 「紀子 ( のりこ ) ! はっ、早くっ!!」 「ちょっと待……っ!!」 ひとりが慌ててもうひとりを引っぱると、ふたりは玄関から外に飛び出して行った。 ーー バタン!! 無情にも閉まるドアの音と激しく動揺したことによって、また頭に痛みが走る。 「う……っ!!」 頭を抱え、俺はその場で意識を失った。 何時間経ったのか……。 「目が覚めましたか?」 目を開けると真っ白い壁に囲まれた部屋のベットの上だった。 ベットの横で腕に刺す点滴を操作するひとりの女性。 「わかりますか? ここは病院です」 「病…院……」 頭に手をやると包帯に当たった。
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