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神奈川の直接的な部下に話を聞いてみたところ、神奈川は成瀬のクライアントであり、もう数年の付き合いになるらしい。
関係は良好で、話も上手くいっていたようだったが、その日だけは様子がおかしかったらしい。
普段は温厚な神奈川だが、成瀬と午前中に会って昼前頃に帰ってきた時、何故かかなり不機嫌になっていたという。
「理由はわかりませんが、こんな事は滅多にない事で、私達も驚いてました」
「そか…わかった、ありがとうございます」
大神はそれだけ話を聞き終えると、軽く頭を下げてその場を後にする。
そして次に向かうのは、
「今度はこいつ…"金沢克己"」
「その人はどんな人?」
"金沢克己(26)"、某会社の広告担当の社員がいる場所だった。
また先と同じように、いきなりアポ無しで会社まで直接押し掛けるが、本人は不在で、受付曰く話を詳しく知る人物もいなかった為、二人は渋々帰ろうとした時、
「あ、少々お待ち下さい!金沢が戻りました」
丁度金沢が営業から戻ってきたらしく、面会の許可を貰った。
「どうもお待たせしました、金沢です」
そして姿を現したのは、いかにも若手の社員といった感じの、爽やかな青年だった。
人込みに揉まれては落ち着いて話も出来ないという事で、三人は場所を移して近くの喫茶店で席に着いた。
「それで、お話というのは?」
金沢は早速そう切り出すと、大神は単刀直入に尋ねた。
「"成瀬"という男を知ってますか?」
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