1 君と歩く、翡翠の道 ♯1

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「さぁて皆、そろそろ行くよーん。 次のチェックポイントでちょうど10㎞になるから、頑張ろうな?」 「はーい」 先頭を切りながら皆を促してくれた武田くんに、女子全員、声を揃えて返事をした。 今日、私たちは高等科の学年行事・ウォーキングラリーに参加中。 学校から5駅離れた自然公園を起点に、東京湾まで流れる川の河川敷コースを歩くというもの。 コース距離は、30㎞。 運動部に所属してない私には、なかなかの距離になる。 私たちのグループは、武田くんをリーダーに、高階くん、美也ちゃん、満里奈ちゃん、私の5人編成。 美也ちゃん以外の3人は、今回初めて同じクラスになった。 去年、中3になってから編入してきた私。 生徒全員の顔なんて覚えられる訳もなく、名前と顔が一致しない人もまだたくさんいる。 だから、少しでもお知り合いになれてた人たちと同じクラスになれたのは、良かったって思う。 武田くんと高階くんは、奏人と同じバスケ部でお顔を覚えてたし。 満里奈ちゃんは、文芸部の作品作りのための取材で話しかけられて以来、よくお話するようになってたから。 奏人は――――肝心の奏人とは、クラスが離れちゃった。
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