1 君と歩く、翡翠の道 ♯1

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奏人が1組で、私は2組。 高等科の入学式の朝、クラス発表を見て頭が真っ白になったわ。 そういう確率のほうが高いって頭では分かってたけど、ものすごくショックだった。 でも仕方ないことだって分かってる。 学年が違ったり、学校が違うカレカノはたくさん居るんだもの。 クラスが離れたって言っても隣のクラスなんだし、いつでも逢えるんだから。 そう、切り替えたはずなのに。 もう4月も終わりだっていうのに。 振り向いた時。見上げた時。そこに奏人が居ないことに、まだ慣れない自分が居る。 時々、心細くて。それで、寂しいって思っちゃう私が居るの。 駄目ねぇ、私。贅沢すぎるって怒られちゃう。 ――あ、メッセージがきた。 『こちらは、ふたつめのチェックポイントに着いたよ。涼香も頑張って』 スタンプも何もないあっさりした文面なのに、じわりと胸が熱くなる。 先行してる奏人のグループは、既に次のチェックポイントに到着したみたい。 うわ、もう? 早ーい。 お花で脱線してる場合じゃなかったわ、私。 奏人。早く逢いたいから、私も頑張るねっ。
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