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それから――。
「何を……なさってるの?」
ウィンウィンとキッチンで唸る
気の抜けない音。
手首の拘束も目隠しも解かぬまま
再び僕にシーツだけ被せて
そばを離れた征司は
「――料理だ」
戦場のようなキッチンに舞い戻り
物騒な音を立てている。
「ペーストを作ってる」
「ペースト……」
「クラッカーやバケットに塗って食うやつさ」
てことは
殺人鬼のチェンソーさながらの音はミキサーか。
やがて
チャリンチャリンと。
皿にスプーンがぶつかる音がして。
「できたぞ――」
次の遊びを考えついた王様が
意気揚々と戻ってきた。
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