時には可憐な少女のように

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家に帰った私は、何度か母にバイトのことを切り出しかけたが、結局言えなかった。悩んだ挙げ句に、水曜日は帰りが遅くなることだけ伝えた。 「委員会の仕事で、色々やることがあるから。」 それで母が納得したかは定かではなかったが、深く理由を追究されることはなかった。お腹の中にいる弟か妹のことでいっぱいいっぱいだったのであろう。 もし、バイトのことがばれてしまったらどうしよう。 そんな不安も一瞬頭をよぎった。 その時はその時だ。先回りして考えるのはよくない。実際にその場面に遭遇してみないと、母がどんな反応をするかもわからない。 電気を消して、布団に入りつぶやいた。 「なんとかなる。」
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