時には可憐な少女のように

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キーンコーンカーン… 授業終了を告げるチャイムが鳴り、通学かばんを片手に学校を後にする。 茜色に染まる、夕方の商店街を歩くと、二人の女子高生とすれ違った。おしゃべりに花を咲かせる彼女達は谷塚高校、略して谷高の制服を着ている。本来で有れば、私も谷高に行くはずだった。 「ただいま」 児童公園の横に建つタワーマンション。ここが私の家だ。うん千万は軽く越えるであろうこの高級住宅に住むはめになるとは、夢にも思ってなかった。 「お姉ちゃんお帰り!!」 リビングに入ると、妹の優加が、出迎えた。優加は、小学6年生。母親譲りの能天気な性格で、それが時々私を、いらいらさせることがある。 だが、不思議なもので、その丸く茶色い澄んだ瞳を見ると、小言の1つも出なくなってしまう。
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