初めての誤算

2/16
前へ
/48ページ
次へ
次の週末から、バイトが始まった。 集まったのは、私を含めて7人の高校生。皆、女子だ。 全員がそろうと、田中さんが指示を出した。 「みんな、足を広げて、座って。」 足を広げる?なぜ? 質問しようとしたが、田中さんはやることがあると言って、その場を離れた。 折り紙を折るのは、小学校の中学年以来だ。 「さあ、頑張るぞ。」 気合いを入れて、折り始めた。 あれは、幼稚園の年少か年中の頃だろうか。 折り紙を折ることが大好きだった私は、何か折るたびに、優加や友達、幼稚園の先生にプレゼントしていた。 ある日、父が熱を出して、寝込んだことがあった。幼稚園の先生に、入れ物の作り方を教わって、それに風邪薬を入れて、ベットの横に置いた。 すると翌朝、父の熱は下がっていた。 「真希。ありがとう。お前は、パパのエンジェルだよ。」 そう言って、私を抱き締めてくれた。あの頃は、父が理想の男性だった。それは、今でも変わらない。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加