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時には可憐な少女のように

そんな彼女にも、もうすぐ弟か妹ができる。普通は喜ばしいことなのだが、実を言えば、私はこのことを快く思っていない。

｢真希も、谷高に行けばいいのに。｣
母の残念そうな声が、よみがえる。その言葉が出たのは、父と母の離婚が決まった頃だった。
理由は、いろいろある。だが、決定的な理由は、母が不倫をしたことだ。高校のクラス会で、当時の恋人と再会。そして、終わった後に、ホテルへ直行し、そのまま…という、ドラマや週刊誌に出てきそうな、修羅場をくり広げた挙げ句、離婚に至った。
ほんとうは、父と一緒に暮らしたかった。でも、母が泣きながらそれを引き止めたのだ。それに、小学生の妹を置いてきぼりにすることなんてできなかった。
母の再婚と私が志望校を替えたのには、関係がある。