第1章 『壊された平凡 ①』

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この世界は箱にとらわれている。 いつだって空とかいうひらべったい天井に蓋されているし、果てしなく歩いたとしても結局はもといた出発点に戻ってきてしまう。 『宇宙飛行士』に選ばれたほんの一握りの人間だけが、ロケットやらなんやらの特殊な機械に乗って外に飛び出していけるだけ。 当然僕みたいな一般人が選ばれるわけもない。 それは分かりきっていることだ。 それなのにまだこの現状に絶望するということは、やはり僕がつまらない人間だからなのだろうか。 だが、いつも同じ時間に起き、同じ時間に家を出て、同じ人間と同じところで勉強し、特に変化のないことをダラダラと喋り続けているこの現状に納得などいくはずがない。 .....変えようとはしているんだ。 でも、変えようと思って本当に自分を変えられる人間が実際何人存在するのか。 ........やめた。 考えるだけ無駄だ。 僕の拙いこの脳みそをフルに回転させたとしても答えが出ないことは明確。 ならばわざわざ考えることでもないだろう。  ーー僕はいつもそうだ。 まだ17のくせに何を悟った気でいるのか。 普通に友達を作って彼女を作って...という生活とは掛け離れた生活をおくっている。 家族とは疎遠すぎて今、何処に住んでいるのかすら分からない。 彼女なんているわけがないし、友達は席が近いから話している程度のもの2~3人。 別に寂しくはないし、辛くもない ...といったら嘘になるだろうか。 だが一人は別に嫌いじゃないし、静かなところも好きだ。 わざわざ自らを売っておちついた生活を手放す必要もない。 そんなこともあって、僕はこの代わり映えしない平凡な人生を遂行している。 『平凡』。つくづく僕にピッタリな形 容だと思う。 成績も運動も顔も平凡。並。 一人暮らしのせいか普通の男子よりは少し家事が得意だと思うが、それがなにになる? 世間ではイクメンがどーのなどと騒いでいる女子もいるようだが、実際問題、家事ができてもイケメンでなければ価値など皆無。 よって僕の家事得意というものは実に無価値なスキルなのだ。
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