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《5年後》
……ほら
桜……。
「キレイね~。
どうしたの?桜が見たいだなんて」
「そういえば、一緒に見てないなって思ってさ」
「そうねぇ。ここ数年、気付いたら桜が散ってたものね」
一時期は不貞を疑っていた妻も今はすっかり
穏やかに母親の顔をしている。
桜と会えなくなって、既に5年。
4年前、春に産まれた娘を桜花と妻が名付けた。
……桜の下で
俺が見る夢は
いつだって あの芳しい「桜」の薫り。
逢うことはないと
分かっている。
けれど 今もキミへの気持ちが
……色褪せないのはどうしてだろう
あれがきっと運命の恋だからだろう
結ばれることはなかったけれど
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